
日曜日の朝6時。千葉市といえども、10月はうす暗いし、肌寒い。大きなカバンを1つ抱え、羽田空港行のバスを待つ。目指すは北海道室蘭市!
朝が早いにもかかわらず、バス停には20人ほどの行列が出来ている。ここは3つ目のバス停を経由して来る所なので、かなりの混雑を予想した。予約をしておいて正解だなと思いながら、胸をなでおろした。予想通りバスはほぼ満員、結局、予約無しのお客も全員乗り込めた。こんなにたくさんの人が空港を目指すのかと驚きながら、バスは定刻通りに出発した。
湾岸道路を1時間ほど走ると羽田空港へ着く。高速道路も混んではいたが、渋滞もなくスムーズだ。日が昇るにつれて、空は明るくなり、幸先の良い旅となりそうだ。それにしてもバスでの移動は楽だと改めて思った。必ず座れるし、乗り換えもない。
バスの運転士さんはほぼ満席の人を乗せて、一瞬の気の緩みも許されない上に定刻通りに乗客を運ぶ。しかもあんな小回りの効かないものを操るんだから、本当に大変だろうなあと頭の下がる思いがした。
朝7時頃の羽田空港は、やはりそれなりに人がいた。搭乗手続きにも荷物検査にも並ぶことを余儀なくされた。そういえば、搭乗手続きをしている隣で、母親と娘と思われる親子が、あれ?あれ?予約がされてない!とパニックになっていた。うわ~悲惨だなあと思ってもどうすることも出来ないので、そのまま荷物検査に向かったが、あの親子らは、その後どうなっただろうか。
北海道の空は快晴だった。だが、寒い。ひんやりしている。
千歳空港に到着していつも思うことがある。それは『寂しい』という感情だ。今さっきまで賑やかな羽田空港にいたので、そのギャップがこの感情を抱かせるのかもしれない。僕は賑やかな場所が好きだ。居酒屋でも活気がある方が楽しいし、公園に行っても犬の散歩やランニングしている人がいる方がいいし、マンションの廊下を走り回っている子供たちがいた方が良い。😊
しかし、これから行く場所は室蘭。千歳よりももっと人は少なくなる。室蘭の中でも更に田舎の絵鞆、半島の突き当りまで行かなくてはならない。
高速で1時間半ほど走ると室蘭へ着く。
室蘭インターは無人で、降りると本当に何もなく山の中に作られた感じだ。その山あいを抜けると白鳥大橋が見えてきて、開けた海がいっきに見渡せるようになる。深い青みがかった海。泳いで行けそうな所に大黒島という島がポツンとある。稼働しているのかどうか分からない工場が見渡せ、室蘭を象徴するような景色を堪能できる。
港があり、工場があり、造船所もあった室蘭は、第二次世界大戦末期、1時間に及ぶ艦砲射撃にあい、400名以上の民間人が犠牲となったと聞く。しかし、今ではそんな片鱗を見せることなく、僕の知っている室蘭の景色は今でも健在だった。
室蘭に来た目的は、70歳を越える両親に会うことにある。認知症や健康状態や暮らし振りの確認だったが、ひとまず今のところは安心した。思っていた以上にしっかりしていた。
だが、それとは別に室蘭の中でも端に位置している絵鞆や祝津の寂しさは、増していた。白鳥大橋を見る観光スポットには人がいたが、それ以外には人がいなかった。見当たらなかった。シャッターが下ろされたお店は、最近開いた形跡がない。公園には子供どころか人もいない。ここら辺の小学生や中学生はスクールバスに乗って登校すると言っていた。もう近くに学校もない。
ちょっと、ラーメン食べに行こうかな。ちょっとカラオケに行こうかな。服でも買おうかな。体調がすぐれないから病院にでも行こうか。どれも実行するには大変なことだ。その希望を叶えてくれる人、場所が近くに無いのだ。これが、少子高齢化、人口減少の本当の怖さではないかと思う。お金を持っていても使い道がない社会。お金を持っていても悩みを解決出来ない社会。働いてくれる人がそこにいなくなる!それが少子化、人口減少の本質ではないかと思う。
先日、出生数70万人割れのニュースが飛び交った。これから益々、加速して人口が減少していく。働き手がいなくなっていく。
雪合戦しながら、登下校する小学生がここではもう見ることは、出来なくなった
